デザイナーとは
身の回りにあるあらゆる物や資料、道具などについて、クライアントの要望やユーザビリティ、コンセプト等に合わせ、最適なデザインを考案し提案する仕事。限られた時間の中で、発想力と表現力などを駆使してデザイン制作をするので、単純作業とは違った遂行力やセンスが求められる。印刷物やWeb素材などデザインをするグラフィックデザイナー、WebサイトをデザインするWebデザイナー、パソコン上で印刷物データのレイアウトを行うDTPデザイナーなどさまざまだが、制作物にあわせた知識やツールの操作が必要となる。
自営型テレワーカー歴:12年
職種:デザイナー、絵描き、オンラインコミュニティ運営
収入:300万~600万(年収)
前職:現代美術作家スタジオ
ワークスペース(仕事をしている場所):自宅の仕事部屋
PC環境:Windows11(デスクトップ、ノートPC)
5~10
時間
6~7
日/週
世界一周旅行をした際の市毛さん
東京で生まれ育ち、社会人となった市毛さん。9年間の会社員時代は、デザインから作家のマネジメントまで、業界の最前線で働いてきた。仕事は多忙を極め、現場は刺激的だったが、心身ともに疲弊し退職を決意。「退職後の身の振り方」を妻といろいろ相談した結果「何をしてもいいなら世界一周をしてみたい」という妻のひと言に乗って、1年間の世界一周旅行を決行したという。「訪れたさまざまな国でふつうに生活している人たちを見て、東京から離れて暮らしたいと思い、偶然たどり着いた移住先が愛媛県の松野町でした」(市毛さん)
東京での経験から、移住後は会社員として働くつもりがなかったという市毛さんは、デザインやイラストなどのスキルを活かし、自営型テレワークという働き方を選択した。
市毛さんの自営型テレワークにおける仕事例
自営型テレワーカーとして初めての仕事は、世界一周旅行から帰国したあと、移住するまで派遣社員としてお世話になった東京の会社からの受注だった。業務内容はソーシャルネットワークゲームのイラストや、パチンコ関連ムービーの絵コンテの制作。「当時はテレワークのためのコミュニケーションツールが今ほど充実していませんでしたが、メールやチャット、インターネット電話などを利用して、1年半ほどその会社から業務を請け負いました」(市毛さん)
その後、「せっかく田舎暮らしをしているのだから、自分も地元を表現してみよう」と思いたち、地域の民俗芸能をイラスト化したポストカードを自主制作。「自作したポストカードを道の駅でグッズとして販売できないかと町役場に相談したところ、図らずもそれが自分のスキルを認識していただくポートフォリオとなりました」と、市毛さんは話す。
以来少しずつ、観光パンフレットやイベントチラシ、イラストマップなどの制作を通じて、移住先での地方・地域のデザイン案件を手掛けるようになったという。市毛さん自身も自営型テレワーカーとして右肩上がりを目指し、できること、やってみたいことにチャレンジし、仕事は順調に増えていった。
しかし、移住して7年後の2018年、西日本豪雨により愛媛県は大きな被害に見舞われ、復興に追われることに。「役場から受注するデザインの仕事が増えていた時期でしたが、一時的に仕事の進行が1~2か月ストップしました。急に手が空いてしまったので、かねてから気になっていたSNS活用の研究を始めたところ、ひょんなことからクリエイター育成のためのオンラインコミュニティ運営をスタートすることになりました」(市毛さん)
現在、主に初心者向けに運営しているコミュニティは、「クリエイターが地方でどのように活動していくか」に焦点をあて、市毛さんからのレクチャーやアドバイス、参加者同士の意見交換などをオンライン上で展開。メンバーは全国から集まり、一時は100人を超える大所帯となった。自分で営業をかけて受注していくメンバーを何人も排出し、確実に結果につながっているという。「さらに今、この運営スキルを活かし、新たに地域の移住促進のためのオンラインコミュニティという全国でも目新しい取り組みをしていて、実際に愛媛県内子町の移住者増加に貢献しています」と市毛さんは話す。
よかったこと
満員電車で通勤しなくてよくなった。
自分で仕事を選び、働く時間帯やペースを自由に決められるようになった。
会社の都合に振り回されず、家族で大好きな旅行に行けるようになった。
困ったこと
個人的には気にならないが、会社員時代とは違って安定収入ではなくなった。
営業活動をしないと仕事が減る。
経理関係を自分たちで行う労力が必要になる。
「仕事をさせていただくときは、クライアント様の『らしさ』を引き出す・光らせるということを心がけています。また、何よりもコミュニケーションを重視し、しっかりヒアリングをさせていただいて、お互いの信頼関係を築き、モチベーションを高めあえたら最高だと思っています」と、市毛さんは話す。東京とは違う小さな規模、近い距離だからこそ、ダイナミックに話が進むおもしろさがあるという。また、「スケジュールを守るため、仕事を後回しにしないようにしています。自分の脳内のハードディスクに容量ができて初めて余力が生じると考えているので、仕事を請けすぎないよう気をつけています」(市毛さん)
「やりたいと思うことだけを仕事にする」という方針で活動しているため、「スキルアップも分野にとらわれず好きなことを吸収しています」と、市毛さん。好きを積み重ねた引き出しを最大限活用してクライアントと話をするので、「苦手と思っていたけれど、実は営業が得意だったのかもしれない」などという気づきもあるそうだ。
オンオフの切り替えという感覚もあまりない。子どもの送り迎えなどを市毛さんが担っているので、「子どもを送ってから帰宅して仕事を始め、迎えにいくタイミングで仕事を終えるという、生活と仕事が融合したハイブリッドなルーティンができています」(市毛さん)。
日々、家族と過ごす時間を大事にしながら仕事を組み込んでいくというスタイル。今後は、クライアントワークでは得られない自分のコンテンツ制作をして収益につなげるのが夢だという。
最後に、これから自営型テレワーカーを目指す人へのアドバイスを聞いた。「自宅で一人で仕事をすることや、仕事がない日々が続くことに不安を感じる方もいらっしゃると思います。向き不向きがあるので一概には言えませんが、ぼくにとってはそれはプラスの要因になっています。会社に通わず、自分で自由気ままに仕事をし、遊び、収入を得て、家族で楽しく暮らすことは、かなり幸せです。そんな暮らしを「楽しい」と思える方、会社勤めを合わないと感じている方には、『自分らしく生きる』ことを強くおすすめします」
自営型テレワークの仕事例
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