自営型テレワーカーへの発注企業事例
合同会社パッチワークカンパニー

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事例 11

人材不足の建設業界で自営型テレワーカーを「育て」「活かす」

合同会社パッチワークカンパニー

    • 事業概要

      鉄骨、橋梁などの図面請負い業務
    • 本社所在地:大分県国東市国東町田深443番地
    • ホームページ:https://patchcom.jp/
    • 代表者名:岡野望美
    • 資本金:50万円
    • 従業員数:2名
    • 取引自営型テレワーカー数:9名
    • 発注金額(2020年):7,025,892円
    • 発注件数(2020年):87件

自営型テレワーカーへの発注に至った背景

合同会社パッチワークカンパニーは、橋梁点検損傷図・調書作成、鉄骨施工図制作を主な業務としている。代表の岡野望美さんは、企業に勤務していたが、会社員生活が性に合わないと感じ、フリーランスとなった。7年間ほどフリーランスとして図面制作の仕事に携わってきたが、「ただ頼まれた図面を描くだけではなく、もっと世の中のためになる仕事がしたい」と模索し、2015年に起業した。現在、同社の従業員は岡野さんを含めて3名。9名の自営型テレワーカーの協力を得ながら、業務のほぼ100%をテレワークで行っている。

「元同僚から、介護で仕事を辞めなければならなくなったと言われ、それならいっしょにやりましょうと、テレワークを始めたことがきっかけ」と岡野さん。その後、時流もあり、『これは働くということを根本的に変える可能性がある』と感じ、2017年からテレワークに本格的に取り組むようになった。

自営型テレワーカー活用の状況

自営型テレワーカーに発注する主な業務は、CADによる製図の仕事。単にCADといっても、電気工事、配管工事、基礎工事など図面のジャンルは細分化されており、それぞれの分野でスキルの高い人材を見つけるのは容易ではない。そのため、岡野さんは主に、自らが講師を行うCAD講座の生徒をスカウトしたり、自治体主催のマッチングイベントに出展するなどして人材を確保している。
CADだけでなく、総務、経理、広報の仕事も自営型テレワーカーに依頼している。採用の際には、履歴書の提出と面談を実施。「求めるスキルをもっているか」だけでなく「チームの一員として一緒に働けるか」という視点を大切にしている。

「子育てや介護のため外で働けない人、夫の転勤のため会社勤めを断念した人などさまざまな事情がある人にも一緒に働いていただいています。業務時間帯や一日の業務時間数は各自の希望を自己申告し、その時間内でWeb会議出勤をしていただきます。図面の仕事はプロジェクトチームを組んで進めており、ワーカーのスキルレベルによって、プロジェクトリーダーが作業の割り振りをしています」

作業中はずっとWeb会議にログインして、カメラをオンにしているので、疑問に思ったこと、わからないことはすぐに確認するなど、密に打ち合わせを行いながら仕事を進めている。個別の打合せはWeb会議内の個別セッションを頻繁に活用している。
「技術的な指導にもWeb会議の録画機能を使うと、何度でも繰り返し見られて便利です。また、会議の際、全員のスケジュール調整が大変ですが、これもWeb会議なら録画をして欠席者にあとで視聴してもらえばいい。スケジュール調整のわずらわしさがなくなり、時間も有効に使えます」。また、在宅勤務は、仕事と家庭の切り替えが難しいというワーカーも、「Web会議出勤にしたことでオンとオフの切り替えもできると好評」という。

そのほか、日々のコミュニケーションにはSNSやクラウド上のスケジュール、業務の管理には、ワーカーの契約から請求までが一元管理できるツールを利用するなど、積極的にITを活用している。

  • 自営型テレワーカーへの発注のメリット
  • 労働力を業務量に応じて調整できる
  • 設備投資なしに、事業を拡大できる
  • 自営型テレワーカーへの発注のデメリット
  • 進捗管理や成果物の品質管理のためには仕組みづくりが不可欠
  • せっかく育成しても他社に人材が流れてしまうことがある

発注・活用に当たっての課題・留意点

「自営型テレワーカーを活用し始めた頃は、お願いしていた仕事が全く進んでいなかった、期待した成果物が得られなかったなどというケースもありました。しかし、納期や求める成果物等を明文化して、契約書を交わすようにしたことで、そのようなトラブルは大幅に減りました」と、岡野さん。 さらに、仕事を始める時に、会社のルールや利用するツール、インストールして欲しいソフトなどのマニュアルを共有している。また、各ワーカーのパソコンのスペックや通信環境も把握し、パソコントラブルに備えてITサポートも設置している。

自営型テレワークは、始めやすい反面、辞めやすいという一面もある。「会社への帰属意識を高めるためには、コミュニケーションが重要」と、岡野さんは考えている。 「ワーカー間のコミュニケーションを図るため、雑談も推奨していますし、業務外でもランチ会やクリスマス会などのオンラインイベントを行うほか、年1回程度、リアルで顔を合わせる機会も作るようにしています」

ワーカー参加のオンラインイベントの様子

今後の発注・活用方針

「今後も、建設業界のCADエンジニアに特化して業務を広げていきたい」と話す岡野さん。国内ではCADのスキルを持つ人材が不足している。昔気質(かたぎ)の男性の多い業界であり、若手が敬遠しがちなため、海外に発注する企業も増えているという。「しかし、このままでは国内の人材が空洞化してしまう。それを食い止めるためにも、来年度からCADエンジニアのテレワーカーを育てるアカデミーをスタートさせようと、現在準備しているところです」

自営型テレワーカーへの発注を検討している企業へのアドバイス

私はテレワークという働き方に出逢ったとき、この働き方は世界を変える力があると感じました。現在弊社で働いている方は、「小さな子どものママ」「介護中」「転勤族の妻」「大病をされた」、そして私のように「会社員には向かない」方などです。これまでの仕組みでは働けていなかった方が、テレワークという働き方で働けるようになります。世の中には仕事ができない状況にいる、優秀な方々がたくさんいます。しかし、まだ新しい働き方のために、仕組みが確立されていません。そこをチャンスと捉えて、先んじて取り組むことは、確実に労働力不足に向かっている日本において、アドバンテージになるはずです。

※ 掲載情報は、2021年11月時点のものです。
※ 掲載情報については、あくまで企業における自営型テレワーカーへの発注・検討に資するためのものであり、当該発注企業と自営型テレワーカーの契約内容について(事務局が)保証するものではありません。

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