同社は、複数の分野で在宅ワークの活用を行っている。ここでは、同社の主な事業である屋外広告物の施工管理業務に必要な自治体の情報収集に在宅ワーカーを活用した例を紹介する。
具体的には、在宅ワーカーを活用して、全国の約2,000の自治体に、広告看板に関する行政情報について電話で問い合わせて、その内容をデータベース化する事業である。期間は2013年12月から開始し、翌年一月末には完了することができた。
在宅ワーカーの募集には、クラウドソーシング(※1)を活用した。募集時には、クラウドソーシングに登録している個人に加えて、主婦で構成される在宅ワークの団体からも応募があった。検討した結果、選定した個人とこの団体のいずれにも依頼することにした。同団体の在宅ワーカー同士は、フェイスブックでグループを作り業務管理を行っていた。
作業においては、クラウドソーシング事業者に基本的な進捗管理等を依頼した。また、在宅ワーカーとの質疑応答等は、同社担当者と仲介しているクラウドソーシング事業者の担当者の両方が対応した。在宅ワーカーとのコミュニケーションはチャットワークで行い、全ての在宅ワーカーと関係者が共有して、業務の効率化をはかった。
自治体への電話問い合わせ時のために、同社が基本的な会話の内容例と会話の進め方を作成し、在宅ワーカーはそれに沿って電話で問い合わせを行った。不明点が発生した場合は、適宜、同社の担当者に相談するようにした。自治体の窓口担当者があまり協力的でない場合も想定し、数種類の会話の対応パターンを用意し、それでも難しい場合は無理をしないという前提で実施した。業務は予定どおり進み、問題なく終了することができた。
※1:「クラウドソーシング」とは、インターネットを利用して不特定多数の人に業務の受発注ができるWebサービスのこと。
同社は、自治体の看板に関する条例に即して、二年毎の更新時に申請業務を行っていた。条例の内容は自治体ごとに異なるため、必要な情報を集めて、適宜、一覧表にまとめていたが、全ての自治体の情報を揃えられていなかった。そこで、業務全体の効率化を図るため、全国2,000か所以上の自治体の条例を調べてデータベース化することにした。
この業務の実施を検討する際に、①社員が直接実施、②派遣社員の活用、③外部委託の活用、という3つの選択肢を考えた。そして、コストやスピード面を考慮した結果、③の外部委託の一種であるクラウドソーシングの活用に決定した。
最初に、クラウドソーシング事業者の選定のために数社から提案と見積りをとった。そして、発注側のニーズを汲んだ実施方法の提案内容と価格の両面から、最も優れた事業者を選定した。なお、問題が生じた場合のリスク対応力なども考慮して、クラウドソーシング事業者の事業規模も選定条件の一つとした。
在宅ワーカーの選定では、スキルや納期を守る責任感などを基準として、性別は問わなかった。ただ、今回の在宅ワーカーの活用においては、結果的に主婦に従事してもらったこともあり、女性の社会参画の支援にもつながるという点に意義を感じた。
※ 掲載情報は、2014年11月時点のものです。
※ 掲載情報については、あくまで企業における在宅ワーカーへの発注・検討に資するためのものであり、当該発注企業と在宅ワーカーの契約内容について(事務局が)保証するものではありません。
在宅ワーカーへの発注企業事例集
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