自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン
全文と各項目の解説(4)

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全文と各項目の解説(4)

(3) 契約条件の適正化
イ 契約条件明示に当たって留意すべき事項

  ⑵のイにより契約条件を明示するに当たっては、以下の事項に留意すること。

1.注文者の氏名又は名称、所在地及び連絡先、委託した自営型テレワーカーの氏名又は名称 ((2)のイの1.)

 注文者が特定でき、確実に連絡が取れるものであること。

2.注文した仕事の内容 ((2)のイの3.)

 自営型テレワーカーが作業を円滑に進めることができ、誤解が生じることがないよう仕事内容が明確に分かるものであること。仕事内容について、双方に思い違い、誤解があることが、報酬支払等の紛争につながりがちなことから、この点は特に留意が必要であること。

3.報酬額、報酬の支払期日及び支払方法 ((2)のイの4.)

(イ)報酬額

 報酬額については、同一又は類似の仕事をする自営型テレワーカーの報酬、注文した仕事の難易度、納期の長短、自営型テレワーカーの能力等を考慮することにより、自営型テレワーカーの適正な利益の確保が可能となるように決定すること。
 なお、自営型テレワークに係る報酬は、一律に時間給又は日給に換算し得るものではないため自営型テレワーカーの報酬と雇用労働者の賃金を厳密に比較することは困難であるが、注文者が標準的な自営型テレワーカーの時間当たりの作業量から想定される時間当たり報酬額を勘案した上で、最低賃金を1つの参考として自営型テレワーカーの報酬を決定することも考えられる。自営型テレワーカーが下請や孫請けとなっている等、重層的な契約となっている場合でも、同様である。
 また、見積りを作成する際には、必要以上に見積りを繰り返すものの契約締結に至らない等自営型テレワーカーの過度な負担とならないような見積りとすることが望ましいこと。
  注文者等が法第2条第6項の「特定業務委託事業者」に該当し、自営型テレワーカーに1か月以上の業務委託(当該業務委託に係る契約の更新により1か月以上継続して行うこととなるものを含む。以下同じ。)を行う場合には、自営型テレワーカーの給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額を不当に定めることは禁止されていること(法第5条第1項第4号)

(ロ)報酬の支払期日

 報酬の支払期日については、注文者が成果物についての検査をするかどうかを問わず、注文者が自営型テレワーカーから成果物を受け取った日又は役務の提供を受けた日から起算して30日以内とし、長くても60日以内とすること。
 注文者等が法第2条第6項の「特定業務委託事業者」に該当する場合は、当該注文者等が自営型テレワーカーの給付の内容について検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して 60 日以内のできる限り短い期間内で、報酬の支払期日を定める義務があること(法第4条第1項)。また、第2の(4)の①の仲介事業者が、法第2条第6項の「特定業務委託事業者」に該当する場合であって、自営型テレワーカーに一定の事項を明示して再委託をした場合には、当該仲介事業者は、元委託業務の対価の支払期日から起算して 30 日以内のできる限り短い期間内で、報酬の支払期日を定めることができること(法第4条第3項)

(ハ)報酬の支払方法

 原則として、注文者が自営型テレワーカーに報酬を支払うこととなるが、いわゆるクラウドソーシングを運営している仲介事業者等、注文者以外の者が自営型テレワーカーに支払代行を行う場合には、契約条件明示の際に、併せてその旨を明示すること。

4.注文した仕事に係る諸経費の取扱い ((2)のイの5.)

 注文者が負担する通信費、送料等仕事に係る経費において、注文者が負担する経費がある場合には、あらかじめその範囲を明確にしておくこと。
 注文者等が法第2条第5項の「業務委託事業者」に該当する場合は、業務委託に係る業務の遂行に自営型テレワーカーが要する費用等(例えば材料費、交通費、通信費等であるが、名目を問わない。)を注文者等自身が負担する場合には、原則として、当該費用等の金額を含めた総額が把握できるように報酬の額を明示する義務があること。

5.成果物の納期及び納品先 ((2)のイの6.及び7.)

(イ)成果物の納期

 成果物の納期(役務の提供である場合は、役務が提供される期日又は期間)については、自営型テレワーカーの作業時間が長時間に及び健康を害することがないように設定すること。その際には、通常の労働者の1日の所定労働時間の上限(8時間)を作業時間の上限の目安とすること。

解説

* 標準的な自営型テレワーカーの時間当たりの作業量から想定されるその仕事に必要な作業時間数をもとに、通常の雇用労働者の1日の所定労働時間の上限である8時間を自営型テレワーカー1人当たりの作業時間の上限の目安としたものです。

* なお、注文者に、自営型テレワーカーがその注文者以外の者から受注した仕事に係る作業時間数の確認を求めるものではありません。

(ロ)成果物の納品先

 報酬の支払期日は納品日から起算して一定日数以内とされる場合も多いことから、確実に成果物が納品されることが重要であり、納品先を明確にしておくこと。

6.契約条件を変更する場合の取扱い ((2)のイの9.)

 契約締結後に契約内容の変更が生じることが考えられるため、契約締結時にあらかじめ契約条件の変更に係る取扱いについて、明らかにしておくこと。その際、変更後の紛争の発生を防止するため、変更時には変更内容を文書等で明示し、自営型テレワーカーと合意することや、その場合に従前の契約に基づく作業の成果物、報酬等の取扱いについても双方で十分協議すること等を明確にしておくこと。
 注文者等が法第2条第6項の「特定業務委託事業者」に該当し、自営型テレワーカーに1か月以上の業務委託を行う場合には、自営型テレワーカーの責めに帰すべき事由がないのに報酬の額を減ずること(法第5条第1項第2号)や、自営型テレワーカーの責めに帰すべき事由がないのに、給付の内容を変更させ、又は給付を受領した後や役務の提供を受けた後に給付をやり直させること(法第5条第2項第2号)は禁止されていること。

解説

* 納期(役務の提供である場合は、役務が提供される期日又は期間)の延長については、仕事の完成によって報酬が支払われる請負契約の場合には、報酬の支払時期の延長に直結し、自営型テレワーカーへの経済的負担が大きくなることが予想されるため、従前の契約に基づく作業の進捗状況等に応じて報酬の一部を支払う特例を定める等の対応が望まれます。

7.成果物に瑕疵がある等不完全であった場合やその納入等が遅れた場合等の取扱い(補修が求められる場合の取扱い等)( ((2)のイの10.)

 成果物に瑕疵がある等成果物又は役務の提供が不完全であった場合やその納入又は提供が遅れた場合等、自営型テレワーカーの責任により、契約書に定めた内容が履行されなかった場合には、注文者は自営型テレワーカーに成果物の完全履行のため補修を求めることや、生じた損害の賠償の請求をすることがあり得るので、その場合の取扱いについて自営型テレワーカーの責任を含めあらかじめ明確にしておくこと

8.成果物に係る知的財産権の取扱い ((2)のイの11.)

 注文者は、コンピュータ・プログラム、物品のデザイン等、成果物やその創作過程で生じた知的財産に係る知的財産権を注文者に譲渡させ、利用許諾を行わせ、又はその権利行使を制限する場合には、その旨や対価等をあらかじめ明確にしておくこと。
 なお、注文者である仲介事業者は、成果物に係る知的財産権を受注した仕事の発注を行った者(以下「発注者」という。)に譲渡等をさせる場合は、その旨も明確にしておくこと。
 注文者等が法第2条第5項の「業務委託事業者」に該当する場合であって、業務委託の目的物たる給付に関し、自営型テレワーカーの知的財産権が発生する場合は、注文者等が目的物を給付させる又は役務を提供させるとともに、当該知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを含めて業務委託を行う場合には、当該知的財産権の譲渡・許諾に係る対価を報酬に加える義務があること。

9.自営型テレワーカーが業務上知り得た個人情報及び注文者等に関する情報の取扱い ((2)のイの12.)

 注文者は、自営型テレワーカーが遵守すべき個人情報の安全管理に関する事項(契約範囲外での当該個人情報の利用禁止、個人情報の保管、仕事終了後の個人情報の消去等)等をあらかじめ明らかにしておくこと。
 また、自営型テレワーカーが業務上知り得た注文者や仲介事業者に関する情報(発注者に関する情報も含む。)についても、秘密保持が求められるものもあるため、個人情報と同様、自営型テレワーカーが遵守すべき機密情報等の取扱いに関する事項(契約範囲外での当該情報の利用禁止、機密情報等の保管、仕事終了後の機密情報等の消去等)等をあらかじめ明らかにしておくこと。
 これらの事項を定める際には、これらの情報を漏洩した場合に発生する責任の範囲(責任額の上限等)についても、明示することが望ましいこと。

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