トラブル事例(8)
業務仲介をする場合の落とし穴

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第4章自らの強みをコラボレーションで生かしている場合

事例8:業務仲介をする場合の落とし穴

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プロフィール
シンクタンクのSE(システムエンジニア)として2年ほど勤務、その後SOHO歴6年。現在、ライターのほか、SOHO数名をネットワークして業務仲介もしている。またSOHOへのスキルチェック・レベルアップ講習なども行っている。年収は500万円。

独立したての頃は、トラブルに対する予防知識や経験が全くなかったので、支払いを踏み倒されたり、報酬単価でもめたりしたことがよくあった。しかし、どこにも相談ができず、結局泣き寝入りをしていた。そんななか、例えば1ページ1万円、2万円という単位で仕事先をたくさん持つよりも、30ページを50万円というふうにまとめて請け、自分で、采配をふるったほうがコーディネートの部分での付加価値がつき、プラスでもらえるのではないかということに気がついた。そこで、クライアントから発注があった時に、自分で募集したSOHOのメンバーのメーリングリストに流して、やる気のある人が集まったらスキルチェックをし、その中から発注するメンバーを探す、ということを全部自分でやってみた。いわゆるミニ編集プロダクション(エージェント)である。

プロダクションや制作会社などから私が直接請ける仕事については、万が一、私にお金を払ってもらえなかった場合は、私が泣けばいいだけだ。しかし、私がミニ編集プロダクションになって誰かに発注する場合、この人たちにはいったい誰が払うのか。クライアントとの関係はそれきりになるかもしれないが、スタッフは長年つき合っていきたい人たちなので、私はこの人たちを大切にしようと思った。だから、発注元からのお金がもらえないというトラブルに数回見舞われたことがあっても、すぐにあきらめず担当者に相談し、自分の身銭を切ってスタッフには報酬を払った。倒産などで支払えないくらいの額の不払いが出てしまった際は、直接誠心誠意あやまるしかなかった。「やってられるか」と、それきりになってしまったスタッフももちろんいたが、大体の方には分かっていただいた。

最初は、1案件当たり一定額以上の仕事は、スタッフへの支払い保障を考えて請けないようにした。支払いサイトが半年先というものも請けなかった。最初は、自分の貯金の中で工面できる10万円程度の仕事にとどめた。そのうち、経験を積むにつれ上限が20万円になり、50万円になりと、だんだん金額が大きくなっていった。そして今は、なるべく直請けできるように常に考えている。受注単価の面でも、最低金額を決め、それ以下しかもらえないクライアントからは請けないようにしている

スタッフの中には、ベテランでもこちらが思ったように仕事をしてくれない方もいる。ビギナーの方は真面目な方が多いため簡単な仕事から入ってもらい、できるようになったら違う仕事を任せてみる。そういう方がやがて育ち、「ほかでも仕事をいただきました」と言われると、私もうれしい。

先輩エージェントの視点

先輩エージェント

仕事を自分で請け、それをほかのSOHOに発注するなり、分担するなりで仕事を行うエージェントには、受注者としての責任に加えて、発注者としての責任も生じます。その責任を果たすためには、主に3つの能力が必要です。

エージェント業の必須条件

第1に、納品物の品質管理ができる能力です。
第2に、ほかの人の能力や技術を把握し、組織化できる力です。コーディネーションや進捗管理の上で欠かせない要素です。

そして第3に、大企業にできない短納期に対応できるフットワークの良さです。自分がSOHOとしてどのような仕事をしていきたいか、よりエージェント的な仕事をしていきたい、と考える場合、これらの条件について振り返ってみると良いでしょう。

エージェントに必要な3要素

SOHO仲介機関の業務別類型

SOHOの成長とともに、SOHO仲介機関も様々なタイプが発生し、業務別には大きく5つに分類されると考えられます。

1. プロジェクト・チーム型

仕事ごとにSOHOを選び、契約を交わした上で仕事をまとめる方式。

2. スキルバンク型

人材登録型。仲介機関があらかじめ登録者のスキルを調査、評価しておき、受注業務と人材のマッチングを図り、業務遂行の円滑化を高めます。

3. アソシエイト型

協同組合などの組織化を図ってSOHOの利益追求に利する方式。

4. マッチング型

情報を相互に流して仲介。掲示板や検索システム、各種MLなどを活用し、情報掲載企業と会員SOHOが直接契約する方式。

5. その他

参加SOHOのマネジメント代行、オフィスを拠点とした支援サービス、決済システムなどのプログラムによる仲介。障害者の自律支援。高齢者の受け皿機関など。

SOHO仲介機関の業務別類型

SOHO仲介機関の業務別類型

出典『SOHO仲介機関(エージェント)の実態に関する調査研究報告書』
(財)社会経済生産性本部、平成12年3月

SOHO受発注トラブル事例集

第1章「自らの落ち度の度合いが高い場合」

第2章「先方の落ち度の度合いが高い場合」

第3章「自らの強みを単体で生かしている場合」

第4章「自らの強みをコラボレーションで生かしている場合」

付録「SOHO受発注トラブル事例集FAQ」

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