トラブル事例(2)
納期を決めていない・不払い

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第1章自らの落ち度の度合いが高い場合

事例2:納期を決めていない・不払い

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プロフィール
もともとコンピュータが好きで、大学卒業後は1年ほど派遣で働いていた。しかし体調を崩して、派遣を週5日から3日にした。その時、家で働けたらいいなと考えた。2年前から自営業としてやっている。自分のWebサイトを出してからは、Webサイトを通じても仕事が来るようになった。週40時間は働いているが、年収は150万円程度。

冬頃に自分のWebサイトを見て発注してきた会社があった。「春頃にやってもらいたい仕事があり、納期は数ヶ月後」ということで口約束で請けてしまった。発注内容は売上管理ソフトの手直しだった。その時点では簡単に出来ると思い、忙しかったのだが請けてしまった。仕事が来たときも、すぐに内容を見ることができず、納期近くになって見てみたら、言われていたことと内容が違っていた。何が求められているのか理解できなかったため、「すみませんがもう1回説明を聞かせてください」とお願いして説明してもらったが、口頭だけで書類はなかった。その後、体力的にも辛かったが2ヶ月くらいかけて指示されたことはやった。

しかし、先方はソフト開発の経験がなく、「ここを直せ」「あそこを直せ」というようなことを気軽に言ってくる。金額は春の時点で決まっており、1つ20万円を2セットと聞いていた。しかし、納品したら「こうじゃない」「ああじゃない」と言ってくる。その発注者もエンドユーザーの要望をどんどん聞いてしまい、発注者自体が厳しい単価でやらされている感じだった。

その間ずっと収入がなかったので、「これ以上作業をするのであれば料金がかかります」と言ったが、「そんなものは払えない」と言われた。金額は口頭で言われて20万円×2セットで40万円のはずだったのに、「そんな金額は言っていない」と言われた。何度やり直しても、「これでは納品できない」と言われた。

納期を決めていなかったのもいけなかった。先方からも納期についての話はなかった。ところが8月中旬になってから、「これは9月から拡販しようとしていた商品だったのに、それができなかったらうちの会社はもう終わりだ。損害賠償請求を考えている」と言われた。結局その発注者の会社は倒産し任意整理ということで弁護士が入った。弁護士とは直接話をしていない。また、請求書も出していない。もう関わりたくないと思ったからだ。契約書を交わしていなかったのもいけなかった。相談できる人もまわりにいなかった。インターネットで倒産のしくみや、債務清算、少額訴訟のことは調べてはみた。専門家に相談したかったが、どうすればいいか分からなかった。

先輩SOHOに聞く

先輩SOHO

当初から、受注要件が全て漠然としており、注意が必要でした。特に初めてやり取りをする発注元ですので、口約束で事態を放置していたことは大変問題です。
また、発注元(この場合はエージェント)に対し、おかしいな、と思った時には、

  • 自分でそれまでのやり取りを振り返り、確認する
  • それでも分からない点がでたら、エージェントに確認する
  • それでも納得のいく答えが返ってこなかった場合は、受注要件が整わない状況での仕事を余儀なくされる恐れがあるので、その案件からは早めに撤退する

ことも必要でしょう。

打ち合わせ・交渉時の注意点
  • 仕事を請けた時は、仕事の内容、納期、納品方法、請負料金について、納得のいくまで打ち合わせをしましょう。この時の認識の食い違いが、後のトラブルに発展する原因となる場合もあります。
  • 業務が数ヶ月にわたる場合、分納などの方法をとり、途中で分けて入金してもらえるよう交渉してみましょう。
  • 経費の扱いや、また支払い条件(締め日、支払い日、支払い方法)を確認しましょう。
  • 手形での支払いは、支払いサイトが長くなる上に、先方の資金繰りが悪化したり、最悪の場合倒産してしまうと回収不可能になるので、できるだけ現金での支払いを要求したほうが無難です。

法律家からの助言

法律家

本件における相談者は、仕事をしたというよりも発注者にただ振り回されていただけという状態であり、法的にどのような請負契約が成立していたか、ということさえ理解できないものです。その原因は、当初の依頼時に仕事の内容を確認していなかったためです。同じようなミスを繰り返さないために、見積書や受発注書を作るように心がけましょう。

なお、弁護士に対する法律相談については、霞ヶ関の弁護士会館にて、市民からの法律相談を行っていますし、市町村役場でも行っていますので、気楽に問い合わせてみましょう。相談料は、一般的には、30分5,000円です。

法律相談をしたい時はここにアクセス

日本弁護士連合会 法律相談ガイド
http://www.nichibenren.or.jp/

法律相談の内容に応じて、各弁護士会の相談窓口を探すことができます。

SOHO受発注トラブル事例集

第1章「自らの落ち度の度合いが高い場合」

第2章「先方の落ち度の度合いが高い場合」

第3章「自らの強みを単体で生かしている場合」

第4章「自らの強みをコラボレーションで生かしている場合」

付録「SOHO受発注トラブル事例集FAQ」

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