冬頃に自分のWebサイトを見て発注してきた会社があった。「春頃にやってもらいたい仕事があり、納期は数ヶ月後」ということで口約束で請けてしまった。発注内容は売上管理ソフトの手直しだった。その時点では簡単に出来ると思い、忙しかったのだが請けてしまった。仕事が来たときも、すぐに内容を見ることができず、納期近くになって見てみたら、言われていたことと内容が違っていた。何が求められているのか理解できなかったため、「すみませんがもう1回説明を聞かせてください」とお願いして説明してもらったが、口頭だけで書類はなかった。その後、体力的にも辛かったが2ヶ月くらいかけて指示されたことはやった。
しかし、先方はソフト開発の経験がなく、「ここを直せ」「あそこを直せ」というようなことを気軽に言ってくる。金額は春の時点で決まっており、1つ20万円を2セットと聞いていた。しかし、納品したら「こうじゃない」「ああじゃない」と言ってくる。その発注者もエンドユーザーの要望をどんどん聞いてしまい、発注者自体が厳しい単価でやらされている感じだった。
その間ずっと収入がなかったので、「これ以上作業をするのであれば料金がかかります」と言ったが、「そんなものは払えない」と言われた。金額は口頭で言われて20万円×2セットで40万円のはずだったのに、「そんな金額は言っていない」と言われた。何度やり直しても、「これでは納品できない」と言われた。
納期を決めていなかったのもいけなかった。先方からも納期についての話はなかった。ところが8月中旬になってから、「これは9月から拡販しようとしていた商品だったのに、それができなかったらうちの会社はもう終わりだ。損害賠償請求を考えている」と言われた。結局その発注者の会社は倒産し任意整理ということで弁護士が入った。弁護士とは直接話をしていない。また、請求書も出していない。もう関わりたくないと思ったからだ。契約書を交わしていなかったのもいけなかった。相談できる人もまわりにいなかった。インターネットで倒産のしくみや、債務清算、少額訴訟のことは調べてはみた。専門家に相談したかったが、どうすればいいか分からなかった。
当初から、受注要件が全て漠然としており、注意が必要でした。特に初めてやり取りをする発注元ですので、口約束で事態を放置していたことは大変問題です。
また、発注元(この場合はエージェント)に対し、おかしいな、と思った時には、
ことも必要でしょう。
本件における相談者は、仕事をしたというよりも発注者にただ振り回されていただけという状態であり、法的にどのような請負契約が成立していたか、ということさえ理解できないものです。その原因は、当初の依頼時に仕事の内容を確認していなかったためです。同じようなミスを繰り返さないために、見積書や受発注書を作るように心がけましょう。
なお、弁護士に対する法律相談については、霞ヶ関の弁護士会館にて、市民からの法律相談を行っていますし、市町村役場でも行っていますので、気楽に問い合わせてみましょう。相談料は、一般的には、30分5,000円です。
日本弁護士連合会 法律相談ガイド
http://www.nichibenren.or.jp/
法律相談の内容に応じて、各弁護士会の相談窓口を探すことができます。
SOHO受発注トラブル事例集
第1章「自らの落ち度の度合いが高い場合」
第2章「先方の落ち度の度合いが高い場合」
第3章「自らの強みを単体で生かしている場合」
第4章「自らの強みをコラボレーションで生かしている場合」
付録「SOHO受発注トラブル事例集FAQ」
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