トラブル事例(4)
報酬の不当な引き下げ

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第2章先方の落ち度の度合いが高い場合

事例4:報酬の不当な引き下げ

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プロフィール
前職はリフォーム会社において、設計・現場管理業務を経験。会社の経営難により、退職し、現在はフリー。SOHO歴1年半。就業時間は週30時間で、年収は300万円程度。

建築系の掲示板で、CADデータ制作の募集が出ていた。「在宅でもOK」となっていたので、建築設計会社から、設計図面のトレースを請け負った。修正部分の費用について、最初に発注担当部門の長と確認をとらねば、と思った。仕事をするのは初めてのクライアントであったし、図面どおりに描いていても、どうしても「設計変更があった」「この線は要らないが、こっちの線は残してほしい」という修正があるからだ。また自分としても、建築系の会社に勤めた経験があったが、際立つ専門性もなかったので、修正に時間がかかるのでは、とも思った。本来1枚いくらの単価のところ、修正に至っては時給換算にしてもらうことにした。クライアントからは、「最後まで修正指示を出すので、それに関しては修正作業分を時給で計算をして、別に請求を上げてほしい」といわれた。そこで、月末に請求書と一緒に、作業時間と業務内容を記載した作業報告書を上げた。最初の2ヶ月は、翌月のうちに支払いがあった。

あるとき、担当者が替わると言われ、その際「時給換算の件はそのままでもよろしいですか」と聞いたら、「それで構いません」ということだった。それで月末に締めて、作業報告書を提出した。クライアントには、途中でメールでも1回、作業状況について送っているし、きちんと報告書も提出していた。しかし支払い2日前ぐらいになって、「請求書どおりではお支払いできません。こちらで査定するので、その金額でお支払いします」との返事。支払い日になっても、その査定された金額がいくらなのかもわからず、支払い自体がなかった。

どういうことか聞いてみると、支払い日自体が変わったとの返事。では金額はどうなったんですか、と聞いたら、「こちらが査定した金額に関して、総務のほうからファクスで入れさせる」とのこと。ところが、指定された日にはファクスは来なかった。翌日に届いたのだが、自分が請求した額の半額だった。その中から、納期がきつかったため、私が作業を振り分けた複数の人にも支払わなければならなかったので、実際にはほとんど手元に残らない。減額の理由とされた査定評価についても、「自分が思ったとおりの成果物が納品がされなかった」という言い方をされた。しかし経過を振り返ると、「これをこう直せ」ではなくて、「これを参考にしてください」とひたすら図面を送ってきただけだった。下書きのとおりに描いても、「下書きどおりに描いたからってどうってことじゃない」という言い方をされる。どこをどう直せばいいのかわからない状態で、ただ納期だけが迫ってくるという状況だった。

あとで知ったが、非常に評判が悪い企業のようで、もう関わり合いになりたくない。知り合いの弁護士に相談したら、「契約書がきちんと交わされていたら良かったのもしれないが、すべて口頭で進めたことで、『言った』『言わない』の問題になるのではないか」といわれた。自分としても、いやな経験として、もう忘れたい。結局先方が提示してきた金額で泣き寝入りをした。

先輩SOHOに聞く

先輩SOHO

発注元の担当者が替わってから、様々な問題が発生したようです。発注元の発注体制が確立されていないことに多くが起因しています。

しかしながら、支払いがなかったから問い合わせたことや、査定評価をする旨が言い渡されてから金額を確認するなど、重要な点が後手に回ってしまい、意思の疎通ができていなかったことも問題を長引かせてしまったのではないでしょうか。

このようなトラブルを回避するには、常に情報収集のネットワークを広げ、課題の芽を摘むためにコミュニケーションを欠かさないことが肝要です。このように、メールに頼って仕事をする場合は、業務フロー・確認ツールを設定してくことが大切です。

報・連・相はすべての仕事の基本

報・連・相とは「報告」「連絡」「相談」のこと。その目的は、情報の共有化を深めることによって、業務の効率化を推進することです。
以下は「報連相」を徹底した時に考えられるメリットです。

1. 仕事を締めくくり、次のステップへ

指示や委託されたことについての進行状況、問題点、結果を知らせることによって、仕事を円滑に終了させ、次のステップに進むことができます。

2. 業務の流れを円滑にする

すべての作業の情報集約をすることができ、総合的に力を発揮でき、業務を円滑に進められます。

3. 相手の立場と考え方を知り、チームワークを向上させる

情報整理の方法を学ぶことができ、総合的な視点で自分の動きがどのように寄与していくかを知ることができ、自己中心的な考え方を正していくことができます。

法律家からの助言

法律家

裁判上の請求を行うためには、証拠が必要です。
本件においては、知り合いの弁護士さんが指摘するとおり、契約書を作成しておくべきでした。

契約内容の証明手段等

契約書を作成しないまでも、見積書や受発注書に、支払いの条件等を記載して提出しておくことでも対応できます。
しかし、本件にて証拠がないからといって、すぐに諦める必要はありません。

当初行っていた仕事の作業報告書や請求書を参考にすれば、過去の事実から支払条件の約束を立証できることも検討できます。また、メールのやり取りも証拠として使うことも検討できます。

作業報告書

SOHO受発注トラブル事例集

第1章「自らの落ち度の度合いが高い場合」

第2章「先方の落ち度の度合いが高い場合」

第3章「自らの強みを単体で生かしている場合」

第4章「自らの強みをコラボレーションで生かしている場合」

付録「SOHO受発注トラブル事例集FAQ」

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