第4章:在宅和亜子さんのトラブル例と対応策
第1話 和亜子さん、「うまい話」に引っかかる
和亜子さんへのアドバイス
それは、「業務提供誘引販売取引(ぎょうむていきょうゆういんはんばいとりひき)」かも知れません。
「仕事の提供」と「教材の購入」という2つの話がセットになっています。
業務提供誘引販売取引とは、特定商取引法に定められているもので、「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘い、仕事に必要であるとして、商品などを売って消費者に金銭負担をさせる取引のことをいいます。
特定商取引法には、消費者を守るためのルールが定められています。
- 業務提供誘引販売取引の場合、契約をしてしまっても、法律で定める書面を受け取ってから20日間以内であれば、書面によりクーリング・オフができます。クーリング・オフをすると、事業者は契約の解除に伴う損害賠償や違約金の支払いを請求できず、商品の引取り費用も事業者の負担となります。事業者は支払われた代金、取引料を返還するとともに、消費者は引渡しを受けた商品を事業者に返還しなければなりません。
また、事業者が守らなければならないルールとして、以下の定めがあります。
- 事前に商品の購入等を伴う勧誘であることを告げ、法律で定める書面を交付し、広告には消費者が負担する金額や事業者名や電話番号などを明記することを義務づけています。
- 勧誘時にうそを言ったり、消費者にとって不利な事実をわざと言わなかったり、脅迫まがいに契約を迫ったり、長時間にわたってしつこく勧誘したり、クーリング・オフを妨害したり、勧誘目的を隠して不特定多数の人が自由に出入りしないような場所で勧誘したり、虚偽・誇大広告をすることが禁止されています。
「誰にでもできる、簡単に収入が得られる、でも高額な教材やパソコンが必要」などと言われたら要注意です。
→ 参考「特定商取引法」
→ 参考「その他・相談窓口・関連サイト」
第2話 和亜子さん、印象悪すぎです
和亜子さんへのアドバイス
順番に在宅和亜子さんのA社への対応を検証してみましょう。
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(1) 電話で相手が出たときに、自分の名前を名乗っていないため、相手に自分の名前を確認させてしまっています。
(2) 相手に敬語を使っていません。
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(1) 何のために電話をかけてきたのか、目的が曖昧です。
(2) 語尾を伸ばしているため、相手に良い印象を与えません。
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(1) 履歴書を誰宛に送るのかを確認していません。
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(1) 相手に対応をしてくれたことへの謝辞を述べていません。
(2) 相手に電話を切らせてしまっています。
あなただったら、この例のどこをどう直しますか?
初めて相手に電話で連絡をとる場合、電話でのアプローチがそのままあなたの第一印象になります。
電話をかけるときは、自分の名前を名乗り、何の用件で誰宛に用事なのかを伝え、担当者に電話を替わってもらいます。
担当者に応対してもらう時は、再度自分の名前を名乗り、電話をした用件を手短に伝え、必要な情報を教えてもらいましょう。また、担当者の名前を聞いておきましょう。
もちろん、話を聞くときには、きちんとメモを取って要点を確認し、電話をかけた方から切るのが正しいマナーです。
ビジネスマナーとは、社会人として守る共通事項であり、きちんと身に付けていれば、円滑なコミュニケーションを図ることができ、何よりも顧客からの信頼を得ることができます。
自営型テレワーカーであっても、顧客とのやり取りは日常的に発生するものなので、電話応対、メールの書き方などは身に付いているか、自分自身を再度見直してみましょう。
第3話 和亜子さん、健康管理に気を付けて!
和亜子さんへのアドバイス
自営型テレワークは、パソコンを使っての仕事が長時間に及びがちなので、肩こり、頭痛、腰痛、眼精疲労などに悩まされることもあります。納期直前に集中的に仕事をすることがあるので、睡眠時間も短くなりがちです。
また、主に自宅などが仕事場なので、通勤から解放され、家庭生活との両立も図りやすいといわれますが、その反面、会社勤務と違って相談できる同僚や上司がすぐそばにいるわけでもなく、私生活と仕事の切り分けが難しい部分もあります。
さて、ここでも順番に在宅和亜子さんの健康管理に関して検証してみましょう。
- 徹夜明けで仕事を続けると、かえって能率が上がりません。やならければならない仕事を上手に時間配分をする努力も必要です。
- 子供との時間を確保したいと思って始めた自営型テレワークも、仕事に追われ、家族の食事時間の確保も難しくなるようでは本末転倒です。自分だけではなく家族の健康管理のためにも、決まった時間に食事ができるよう、心がけましょう。
- 不眠不休で食事もとらずに働き続けた結果、過労と診断されてしまいました。自覚症状が出る前に、少しでも休む時間を確保しましょう。
- ついつい健康診断を受けることも忘れがちです。必ず定期的に、健康診断を受診しましょう。入院という事態になってしまえば、結果的に家族にも顧客にも迷惑をかけることになります。
心身の健康管理は、自営型テレワークを継続していくためにも、家族・友人との良い関係を保つためにも重要です。また、メンタル面の健康を保つためにも、自営型テレワーカー仲間との交流機会を意識的に確保して、相談できる相手を持つことも一考です。
第4話 和亜子さん、やきもきする
和亜子さんへのアドバイス
順番に在宅和亜子さんとA社との仕事の受発注に関して、検証してみましょう。
- A社は納期と報酬に関しては和亜子さんに話していますが、「報酬はすべての業務を終えたとき に話し合いで」と言っています。口約束ではなく、契約書を発行してもらうように依頼しましょう。
- 仕事を遂行する上で、細かい経費が出ていく場合もあります。たとえば交通費、宅配代、記録メディア代などです。事前にこれらの経費がどちらの負担になるかを確認しましょう。
- 請け負った業務はやってみると、意外に時間がかかったり、途中で成果物の状況を提出することを求められたり、思った以上に時間とコストがかかる場合もあります。そんな時、和亜子さんは、A社にその旨を話し、途中で見積もりを出して、A社に検討してもらうなどの働きかけを行う努力も必要です。
- 業務終了日が変更されて大幅に延びてしまった場合は、途中で一部入金を依頼してみましょう。
契約書を作成していなかったり、業務内容や業務の範囲、納期、報酬金額や支払条件などについて明確に定めていないとトラブルになります。
仕事の受注に際しては、必ず契約書を取り交わしましょう。「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」も参照しましょう。
→ 参考「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」
トラブル予防策・トラブル発生時の解決処理方法
自営型テレワークにかかるトラブルは少額な案件も多いため、費用をかけて弁護士などの専門家に相談することは難しい場合が多く見受けられます。
まずは、以下の点に留意してトラブルの予防を心がけ、対応の参考にしてください。
- 契約書を作成して契約内容を明確にしましょう
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- 書面にすることで権利関係が明確になります。
- 書面があることにより、交渉を進めやすくなります。
- 裁判になった際は、有力な証拠となり、権利関係の立証に役立ちます。
- 取引先の情報を集めましょう
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- 不払いを予防するためには、契約を結ぶ前から、取引先に関する情報を集めるよう心掛けるとともに、取引継続中も常に相手方の経営状態や資産状況を意識しましょう。
(着眼点)
業歴、業績の推移、経営主体の変動、従業員の勤務態度・離職状況 など
- 報酬の支払いがなされない場合の交渉術
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- 相手が失念しているだけの場合
相手がうっかりして支払期限を忘れている場合や、請求書や振込先を書いた紙を無くした場合もあります。まずは請求書を再送付したり、電話や訪問により連絡を取ってみましょう。いきなり内容証明郵便(※)を送るのは望ましくありません。
- 数量不足などのため、相手が支払わない場合
自営型テレワーカーの責任により、契約書に定めた内容が履行されないため、相手が支払わない場合、相手から補修を求められたら、まずはそれに対応する必要があります。
- 資金難などの事情により支払わない場合
内容証明郵便による督促をしましょう。心理的な効果が期待されます。また、契約の解除などの意思を伝えた事実、日付を証明するための証拠となります。
※内容証明郵便とは、いつ、誰から、誰あてに、どのような内容の文書が差し出されたかを差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する制度です。
→ 日本郵便株式会社ホームページ
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